2013年7月10日水曜日

2013.7.10 JPAより情報提供がありました

本日、日本難病・疾病団体協議会より「奇病」という表現について報道機関あてに要望書を提出したと情報提供がありました。

少し長くなりますが、下記に転記いたします。ご興味のある方は、ぜひご一読ください。


(以下、全文)-------------------------------------------------

2013年7月10日
報道関係の皆様へ
一般社団法人日本難病・疾病団体協議会(JPA)
代表理事 伊藤たてお

私たちは難病に対する正しい理解を求めるとともに、
「奇病」という表現を改めていただくよう要望いたします

 1972年の「難病対策実施要綱」が発表され、我が国の難病対策が始まったころ、難
病は現在ほど国民の中での理解が進んでおらず、報道などではそれまで広まっていた
「難病・奇病」という表現もまだ使われていました。
 難病に対する社会の正しい理解と認識が十分でなく、多くの患者と家族は偏見と無
理解や差別に苦しみ、中には自殺や心中へと追いやられた患者も少なくありませんで
した。
 その中で立ち上がった患者会は、「難病」についてはまだしも「奇病」という表現
は、ますます患者と家族への偏見・差別を助長するものとして、報道機関などへその
表現の使用を自粛していただけるよう様々な機会に要望を繰り返し、一般的には「奇
病」という表現は用いられなくなりました。
 ところが、昨今再び強烈なインパクトを伴う「奇病」という表現がウェブ上で氾濫
し始めており、その風潮のなかで、日本を代表する週刊誌の見出しにまで「奇病」と
いう表現が用いられるようになりました。
 JPAの加盟団体でもある「全国筋無力症友の会」ではその記事の見出しについて、
憂慮し、6月27日付文書にて当該誌に抗議を行ったところ、7月2日付で同誌編集部よ
り「重症筋無力症の病状に対する誤解を生じさせたといたしますならば、それはもと
より弊誌の本意ではなく、誠に遺憾な事でございます」「しかしながら、現にこうし
て貴会より抗議の意思が記された文書を拝受し、難病と闘う患者の方々、その家族、
医療従事者の皆様に不快の念を抱かせておりますことは、弊誌としては大いに反省の
材料とせねばならないと考える次第です」「関係者の皆様方に懸念を抱かせ、精神的
な痛手を受ける結果をもたらしているというご指摘の内容は、真に厳粛に受け止める
所存でございます」「弊誌のタイトルの文言で誤解を生じた点があったと致しますな
らば、今後の反省材料にしたいと考えるものであること、また、貴文書にてご指摘の
趣旨をよくふまえ、今後の記事づくりに生かしていきたいとも考える所存であること
を改めてお伝えし、弊誌としての見解とさせていただきたく存じます」という回答を
いただきました。
 一昨年より進められている「難病対策の改革」を論議してきた厚生科学審議会疾病
対策部会難病対策委員会では、2013年1月25日に提言を取りまとめ、「希少・難治性
疾患は遺伝子レベルの変異が一因であるものが少なくなく、人類の多様性のなかで一
定の割合発生することが必然であり、希少・難治性疾患の患者・家族を我が国の社会
が包含し、支援していくことがこれからの成熟した我が国の社会にとってふさわしい
ことを基本認識とした」とし、また2012年8月26日の「今後の難病対策の在り方(中
間報告)」では「難病対策の必要性と理念」として「難病患者の社会参加を支援し、
難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指す。また、患
者の長期かつ重度の精神的・身体的・経済的負担を社会全体で支えることを目指す」
ことを確認しました。このことと差別と偏見に満ちた表現、というよりも社会的な
レッテルとしての意味合いが極めて大きい「奇病」という言葉は全く相いれないもの
と言わざるを得ません。
 私どもは多くの難病患者のおかれている現状を深く考慮し、難病対策の改革が行わ
れ、法制化も視野に関係各方面が努力を重ねている現状をぜひとも正確に報道いただ
き、難病に対する偏見と差別が早くこの社会から無くなるよう報道関係の皆様の一層
のご理解とご協力をいただけますよう切に要望を申し上げる次第です。